ふるさと納税の寄附先が6自治体以上になり、「最初の5自治体はワンストップ特例のままでよいの?」「6自治体目だけ確定申告すればよい?」と迷うことがあります。
1年間の寄附先が6自治体以上になった場合、ワンストップ特例は利用できません。所得税と個人住民税の両方で寄附金控除を受けるには、ワンストップ特例を申請した分も含め、その年に行ったふるさと納税をすべて確定申告へ含めます。
ただし、自治体数は寄附回数や返礼品の個数ではなく、実際の寄附先となった地方公共団体の数で判断します。同じ自治体へ何度寄附しても1自治体ですが、同じ都道府県内でも市区町村が違えば別の自治体です。
この記事では、自治体数の数え方を確認したうえで、6自治体以上になった場合の申告手順や必要書類、期限を過ぎたときの対応まで紹介します。
6自治体以上に寄附したときの対応
| 寄附先や申告の状況 | 主な手続き |
|---|---|
| 年間5自治体以内で、ほかに確定申告をする理由がない | 寄附先へワンストップ特例を申請 |
| 年間6自治体以上 | 年間のふるさと納税をすべて確定申告 |
| 5自治体以内でも医療費控除などで確定申告する | 年間のふるさと納税をすべて確定申告 |
| 同じ自治体へ複数回寄附する | 自治体数は1。申請状況は寄附先の案内で確認 |
ワンストップ特例を利用できるのは、原則として確定申告が不要な給与所得者などで、1年間の寄附先が5自治体以内の人です。
「5自治体以内」という条件は、ワンストップ特例を利用するためのものです。6自治体以上への寄附が禁止されているわけではなく、寄附先の数に応じて申告方法が変わります。
6自治体以上ではワンストップ特例を利用できない
6自治体へ寄附した場合、最初の5自治体だけワンストップ特例を利用し、6自治体目だけを確定申告する方法は使えません。
年間の寄附先が5自治体を超えると、ワンストップ特例の対象から外れます。控除へ正しく反映させるため、申請済みの5自治体分も含めて年間の寄附を確定申告します。
例えば、5自治体へワンストップ特例を申請した後、年末に別の自治体へ寄附して合計6自治体になった場合も同じです。6自治体目だけではなく、対象年に行ったふるさと納税の全件を申告書へ入力します。
ワンストップ特例を申請済みでも確定申告へ切り替える
年の途中までは5自治体以内だったため、すでにワンストップ特例申請書を提出していることもあります。
その後、6番目の自治体へ寄附した場合は、申請済み分を含めて確定申告へ切り替えます。確定申告をすると、提出済みのワンストップ特例申請は適用されなくなるためです。
取消しのためだけに各自治体へ連絡する必要は通常ありませんが、自治体から個別の案内が届いている場合は、その内容にも従ってください。
なお、寄附先が5自治体以内でワンストップ特例を利用する場合、申請期限は原則として寄附をした翌年の1月10日です。書面申請は期限までの必着、オンライン申請は期限内の手続き完了が必要になるため、寄附先の案内を確認しましょう。
そもそも自治体のカウントはどのようにされる?
ワンストップ特例の「5自治体以内」は、寄附した回数、返礼品の個数、利用したふるさと納税サイトの数ではなく、寄附先となった都道府県・市区町村の数で判断します。
自治体数を数える期間は、毎年1月1日から12月31日までです。その年に寄附した自治体名を一覧にし、同じ寄附先を一つにまとめて数えます。
同じ自治体への複数回寄附は1自治体
同じ自治体へ年内に複数回寄附しても、寄附先数は1自治体です。
例えば、同じ市へ3回寄附し、別の4自治体へ1回ずつ寄附した場合、寄附回数は合計7回ですが、寄附先は5自治体です。ほかに確定申告をする理由がなく、必要な申請を期限内に済ませれば、自治体数の条件を満たします。
ふるさと納税サイトによっては、自治体ページで、その自治体が取り扱う返礼品を一覧で確認できることもあります。返礼品が異なっても、寄附先の自治体が同じなら自治体数は増えません。
ただし、書面によるワンストップ特例申請は、原則として寄附ごとに必要です。オンライン申請の方法は自治体や利用サービスによって異なるため、寄附履歴や受付画面で各寄附の申請状況を見直しておきましょう。
同じ都道府県でも市区町村が違えば別の自治体
市区町村への寄附を同じ1自治体として数えるには、都道府県が同じだけではなく、寄附先の市区町村まで同じである必要があります。
例えば、同じ県内にあるA市とB市へ寄附した場合は2自治体です。市と町、町と村など、寄附先となる地方公共団体が異なる場合も別々に数えます。
返礼品の産地が同じ都道府県であっても、申込履歴に表示されている寄附先の市区町村が異なれば、同じ自治体にはなりません。返礼品名だけではなく、「○○市」「○○町」などの寄附先名を見ることが大切です。
都道府県と市区町村も別に数える
都道府県そのものと、その都道府県内にある市区町村も別の地方公共団体です。
例えば、ある県と、その県内にある市の両方へ寄附した場合は2自治体として数えます。同じ地域に関係する寄附であっても、寄附先の団体名が異なれば別の自治体です。
寄附履歴では「○○県」「○○市」「○○町」など、実際に寄附を受け付けた地方公共団体の名称まで確認しましょう。ワンストップ特例では、寄附先となった都道府県・市区町村の団体数で判断します。
複数のふるさと納税サイトを使った場合は合算する
自治体数は、ふるさと納税サイトごとに分けて数えるものではありません。
あるサイトで3自治体、別のサイトで3自治体へ寄附し、寄附先に重複がなければ合計6自治体です。一方、複数のサイトから同じ市へ寄附した場合は、利用サイトが異なっても1自治体として数えます。
複数サイトを利用した人は、それぞれの寄附履歴を一つの表にまとめると数えやすくなります。自治体名が重複している場合は一つにまとめますが、寄附金額を集計するときはすべての寄附を含めてください。
自治体数は寄附した年ごとに数える
自治体数は、1月1日から12月31日までの1年間を単位として数えます。
前年の寄附先が翌年へ引き継がれることはありません。前年に5自治体、翌年に別の5自治体へ寄附した場合も、それぞれの年で5自治体以内です。
年末の寄附は、支払方法によって受付期限が異なります。申込みをしただけで判断せず、決済や入金が年内に完了しているかを寄附先の案内で確認してください。
オンライン決済、銀行振込、郵便振替などでは締切日が異なる場合があります。寄附金受領証明書が届いたら、記載されている寄附年月日も寄附履歴と照合しておくと安心です。
6自治体以上に寄附したときの確定申告手順
寄附先が6自治体以上になった場合は、次の順番で準備を進めます。
- 年間の寄附先と寄附金額を一覧にする
- 寄附を証明する書類や電子データをそろえる
- 年間のふるさと納税をすべて申告書へ入力する
- e-Tax(国税電子申告・納税システム)または書面で提出する
- 翌年度の住民税決定通知書で反映状況を見る
1.年間の寄附履歴を一つにまとめる
まずは、対象となる年に行った寄附を一覧にします。
記載しておきたい項目は次のとおりです。
- 寄附先の自治体名
- 寄附年月日
- 寄附金額
- 受付番号や寄附番号
- 利用したふるさと納税サイト
- 寄附金受領証明書の有無
- ワンストップ特例の申請状況
複数のサイトを利用した場合は、すべての履歴を一つにまとめます。
自治体数を数えるときは、同じ自治体を一つとして扱います。一方、確定申告の寄附金額を集計するときは、同じ自治体へ複数回寄附した分もすべて含めます。
自治体数と寄附金額では集計方法が異なるため、ここを混同しないようにしましょう。
2.寄附を証明する書類をそろえる
確定申告では、主に次の書類や電子データを利用します。
- 自治体が発行した寄附金受領証明書
- 特定事業者が発行した寄附金控除に関する証明書
- 確定申告に対応した電子証明書
令和3年分以後の確定申告では、国税庁長官が指定した特定事業者による「寄附金控除に関する証明書」を、自治体ごとの寄附金受領証明書に代えて利用できます。
証明書には、1年間に対象サービスを通じて行った寄附がまとめられています。寄附件数が多い人は、自治体ごとの証明書を一件ずつ確認する負担を抑えられます。
ただし、一つの年間証明書にすべての寄附が含まれているとは限りません。複数のふるさと納税サイトを使った寄附や、自治体へ直接申し込んだ寄附は、別の証明書が必要になることもあります。
年間の寄附一覧と証明書を照らし合わせ、自治体名、寄附日、金額に抜けがないかを見直してください。
3.すべての寄附を確定申告へ含める
確定申告へ入力するのは、6自治体目だけではありません。ワンストップ特例を申請した分も含め、その年に行ったふるさと納税をすべて入力します。
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、画面の案内に沿って寄附金控除を入力できます。申告途中で寄附金額を入力しただけで終わらせず、作成後の申告書も確認しましょう。
確定申告書第二表には、住民税に関する寄附金の欄があります。ふるさと納税額が反映されていない場合、個人住民税の計算時に控除されないことがあります。
申告書の様式や項目名は変更される可能性があるため、実際の手続きでは、申告する年の確定申告書等作成コーナーに表示される案内に沿って進めてください。
4.マイナポータル連携を利用する
マイナポータル連携に対応していれば、寄附金控除に関する証明書などのデータを取得し、確定申告書等作成コーナーへ取り込めます。
寄附件数が多い人は、自治体名や金額を一件ずつ手入力する負担を減らせます。利用するには、証明書の発行元が電子交付やマイナポータル連携へ対応していることが必要です。
特定事業者が発行する証明書と、地方公共団体が発行する寄附金受領証明書の両方を取得した場合、同じ寄附が重複して取り込まれることがあります。
取り込み後は寄附一覧を開き、同じ自治体名、寄附日、金額が二重に入力されていないかを見直しましょう。重複がある場合は、証明書の発行設定を変更する方法も案内されています。
確定申告の期限を過ぎた場合はどうする?
所得税の確定申告の法定申告期限は、原則として寄附をした年の翌年3月15日です。期限が土日祝日に当たる場合は、次の平日になることがあります。
一方、会社員など、もともと確定申告をする義務がなく、ふるさと納税による還付を受けるために申告する人は、対象年の翌年1月1日から5年間、還付申告を提出できます。
一般的な確定申告期間を過ぎただけで、直ちに寄附金控除を受けられなくなるとは限りません。寄附を証明する書類をそろえ、対象年の寄附を申告します。
ただし、ふるさと納税以外の理由で確定申告が必要な人や、期限内申告が適用条件となる制度を利用する人は、通常の申告期限を過ぎないよう注意が必要です。すでに期限を過ぎている場合は、所轄税務署へ相談してください。
すでに確定申告を提出している場合
医療費控除などで確定申告を提出したものの、ふるさと納税を含めていなかった場合は、申告内容の訂正を検討します。
申告期限内であれば、正しい内容で申告書を作り直し、期限までに再提出します。e-Taxで再送信する場合も、訂正した部分だけではなく、申告書全体を送信します。
申告期限後に寄附金控除の漏れへ気づき、申告した税額が多かった場合や還付額が少なかった場合は、更正の請求によって訂正を求める方法があります。
更正の請求ができる期間は、一般的な計算誤りなどの場合、原則として法定申告期限から5年以内です。確定申告をする義務がない人が還付申告を提出している場合は、その提出日から5年以内となります。
ただし、寄附金控除を追加しても最終的な所得税額に変動がない場合は、更正の請求ができないことがあります。この場合は、住所地の市区町村へ相談してください。
訂正するときも6自治体目だけを追加するのではなく、その年に行ったふるさと納税がすべて含まれているかを見直します。
6自治体以上でも控除額の計算方法は変わらない
寄附先が6自治体以上になったこと自体で、ふるさと納税の控除額の計算方法が変わるわけではありません。変わるのは、ワンストップ特例ではなく確定申告による手続きが必要になる点です。
一定の上限額までの寄附であれば、寄附額のうち2,000円を超える部分が、所得税と翌年度の個人住民税から控除されます。
ただし、控除される金額は、所得、家族構成、ほかの所得控除、個人住民税の所得割額などによって変わります。寄附額の目安を超えた場合や、必要な申告を行わなかった場合は、想定していた控除を受けられないことがあります。
6自治体以上へ寄附したときは、寄附先の数そのものだけを心配するのではなく、年間の寄附を漏れなく確定申告へ含めることが重要です。
6自治体以上への寄附に関するQ&A
まとめ
ふるさと納税の寄附先が6自治体以上になった場合は、ワンストップ特例ではなく確定申告で寄附金控除の手続きを行います。
すでに最初の5自治体へワンストップ特例を申請していても、その分を含め、対象年に行ったふるさと納税をすべて確定申告へ入力してください。
自治体数は寄附回数ではなく、寄附先となった地方公共団体の数で判断します。同じ自治体への複数回寄附は1自治体ですが、同じ都道府県内でも市区町村が違えば別の自治体です。都道府県そのものと、その中にある市区町村も別々に数えます。
複数のふるさと納税サイトを利用した人は、各サイトの寄附履歴を一つにまとめ、寄附先と金額を証明書と照合してから申告を進めましょう。
- 制度や申告書の様式は変更されることがあります。実際の手続きでは、申告する年の国税庁や寄附先自治体の案内もご確認ください。個別の申告状況については、所轄税務署または住所地の市区町村へご相談ください。
参考情報
- 国税庁「ふるさと納税をされた方へ」
- 国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
- 国税庁「『ふるさと納税ワンストップ特例』の申請書を提出された方」
- 国税庁「ふるさと納税に係る寄附金控除に関する証明書等について」
- 国税庁「マイナポータルと連携した所得税確定申告手続」
- 国税庁「No.2030 還付申告」
- 国税庁「所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続」
- 大和郡山市「ふるさと納税ワンストップ特例制度」
