ふるさと納税の寄附金受領証明書が見つからないと「確定申告に間に合わないのでは」「税金の控除を受けられなくなるのでは」と不安になりますよね。
証明書を紛失しても、寄附の記録まで消えるわけではありません。寄附先の自治体に再発行を依頼するほか、利用したふるさと納税サイトによっては、年間の寄附をまとめた証明書や電子データを使えることもあります。
ただし、確定申告をする人とワンストップ特例を利用する人では、必要な対応が異なります。
この記事では、寄附金受領証明書をなくしたときの連絡先や再発行の手順、確定申告で使える代替書類、申告期限が近いときの対処を紹介します。
寄附金受領証明書をなくしたときの対処
寄附金受領証明書をなくしたときは、次の順番で対応します。
- 寄附履歴から自治体名、寄附日、寄附金額を調べる
- 利用したふるさと納税サイトで年間証明書を発行できるか見る
- 必要な証明書が見つからなければ寄附先自治体へ再発行を頼む
- 確定申告とワンストップ特例のどちらを使うか決める
確定申告では、自治体が発行した寄附金受領証明書だけでなく、国税庁長官が指定した特定事業者による「寄附金控除に関する証明書」を使えることがあります。
ワンストップ特例を利用するだけであれば、寄附金受領証明書を申請書に添付する仕組みではありません。すでに申請が受理され、別の理由で確定申告をする予定もなければ、紛失したことだけを理由に申請をやり直す必要は通常ありません。
一方、医療費控除などのために確定申告をすると、申請済みのワンストップ特例は無効になります。その年に行ったふるさと納税をすべて確定申告へ含めなければならないため、証明書の再発行や電子データの取得が必要です。
まずは寄附履歴を調べる
再発行を申し込む前に、どの自治体へ、いつ、いくら寄附したのかを洗い出します。
利用したふるさと納税サイトへログインすると、次の情報が見つかることがあります。
- 寄附先の自治体名
- 寄附年月日
- 寄附金額
- 受付番号や寄附番号
- 寄附者の氏名と住所
- 決済方法
複数のふるさと納税サイトを使った人は、それぞれの履歴を調べてください。同じ自治体へ何度か寄附している場合は、寄附ごとに証明書が発行されていることもあります。
サイトへログインできないときは、寄附完了メール、返礼品の発送通知、クレジットカードの利用履歴などが手がかりになります。
ただし、決済明細やメールは、寄附の内容を探す資料としては役立つものの、正式な証明書として利用できるとは限りません。金額を推測して申告するのではなく、自治体や特定事業者が発行する書類と照らし合わせましょう。
年間証明書を発行できないか調べる
利用したふるさと納税サイトが国税庁長官の指定を受けた特定事業者であれば、年間の寄附額をまとめた「寄附金控除に関する証明書」を発行できることがあります。
令和3年分以後の確定申告では、この証明書を自治体ごとの寄附金受領証明書に代えて利用できます。紙で交付されるもののほか、マイナポータル連携やポータルサイトから取得する電子データも対象です。
年間証明書には、主に次の情報が記載されます。
- 寄附者の氏名と住所
- 年間の寄附総額
- 寄附番号
- 寄附年月日
- 寄附先の自治体名
複数の自治体に寄附している人は、自治体ごとの証明書を一枚ずつそろえるより、年間証明書を利用したほうが申告準備を進めやすいこともあります。
ただし、一つの証明書ですべての寄附を網羅できるとは限りません。
複数のサイトを利用した寄附や、自治体へ直接申し込んだ寄附は、別の証明書が必要になることもあります。取得した証明書と寄附履歴を照らし合わせ、抜けている寄附がないかを見てください。
必要な証明書は自治体へ再発行を頼む
年間証明書で代用できない寄附については、寄附先自治体のふるさと納税担当窓口へ再発行を申し込みます。
受付方法は自治体ごとに異なります。電話や問い合わせフォームのほか、自治体マイページから申し込める自治体も増えています。
自治体マイページでは、寄附金受領証明書の再発行依頼、寄附履歴の閲覧、確定申告に使うXML形式の証明書データの取得などができる例もあります。ただし、利用できる機能は自治体ごとに違います。
問い合わせる際は、次の情報を手元に用意しておくと、寄附を特定しやすくなります。
- 寄附者の氏名
- 寄附時に登録した住所
- 寄附年月日
- 寄附金額
- 受付番号や注文番号
- 電話番号またはメールアドレス
転居や結婚などで住所や氏名が変わっている人は、寄附時と現在の情報を両方伝えてください。
再発行までの日数も自治体によって異なります。確定申告の時期には問い合わせが増えることも考えられるため、紛失に気づいたら早めに連絡するのがよいでしょう。
確定申告で使える証明書は3種類
ふるさと納税の確定申告では、主に次の書類やデータを利用します。
- 自治体が発行する寄附金受領証明書
- 特定事業者が発行する寄附金控除に関する証明書
- 確定申告に対応したXML形式の電子証明書
紙の証明書をなくしたからといって、必ずすべての自治体から再発行を受けなければならないわけではありません。
利用したサイトや申告方法によっては、年間証明書や電子データで代用できます。どの書類を選んでも、同じ寄附を二重に申告しないことと、年間の寄附を漏らさないことが重要です。
自治体が発行する寄附金受領証明書
寄附金受領証明書は、自治体が寄附を受け付けた事実や金額を証明する書類です。
自治体によって「寄附金受領証」「寄附金受領証明書」など名称が少し異なることはありますが、確定申告で寄附内容を証明する役割は同じです。
寄附ごとに証明書が発行される自治体では、同じ自治体への寄附でも複数枚になることがあります。再発行を頼むときは、対象となる寄附の日付と金額を伝えましょう。
特定事業者の寄附金控除に関する証明書
国税庁長官が指定した特定事業者は、年間の寄附をまとめた「寄附金控除に関する証明書」を発行できます。
証明書は、次の方法で確定申告に利用できます。
- 電子データをe-Taxで送信する
- マイナポータル連携で申告画面へ取り込む
- 紙の証明書を申告書へ添付する
- 電子データを所定の方法で紙に出力する
電子証明書として利用できるのは、国税庁が定めるXML形式のデータです。ポータルサイトの履歴画面を保存したPDFや、スクリーンショットがそのまま正式な電子証明書になるわけではありません。
電子データとマイナポータル連携
マイナポータル連携に対応している自治体や特定事業者であれば、寄附金受領証明書などのデータを取得し、確定申告書等作成コーナーへ自動入力できます。
寄附先や金額を一件ずつ手入力する負担が減り、入力ミスの予防にもつながります。利用するには、証明書の発行元がマイナポータル連携に対応している必要があります。
ここで気をつけたいのが、寄附データの重複です。
自治体が発行したデータと、特定事業者の年間証明書に同じ寄附が含まれていると、申告画面へ二重に反映されることがあります。取り込み後は合計額だけで判断せず、寄附日、自治体名、金額を一件ずつ見比べてください。
e-Taxなら証明書をなくしても申告できる?
e-Taxでは、寄附金控除の証明書に記載された内容を入力して送信することで、税務署への書類の提出や提示を省略できる制度があります。
ただし、添付を省略できることと、証明書を用意しなくてよいことは同じではありません。
入力内容を調べる必要があるときは、原則として法定申告期限から5年間、税務署から証明書の提示または提出を求められることがあります。求めに応じられないと、申告時に書類の添付や提示がなかったものとして扱われることもあります。
そのため、寄附履歴だけを見ながら入力し、証明書を取得しないままにする方法はおすすめできません。
紙の証明書をなくした人は、次のいずれかを用意して保管しておきましょう。
- 自治体から再発行された寄附金受領証明書
- 特定事業者が発行した寄附金控除に関する証明書
- 確定申告に対応した正式な電子証明書
紙のコピーや撮影画像は使える?
紛失する前に撮影した画像や、手元に残っていたコピーだけで確定申告できるとは限りません。
確定申告の提出方法や書類の種類によって扱いが変わるため、単なるコピーやスマートフォンの画像を正式な証明書と考えないほうがよいでしょう。
書面で申告する人は、自治体が再発行した証明書や、特定事業者が正式に発行した紙の証明書を準備するのが確実です。
申告期限が迫っており、再発行が間に合わないときは、提出予定の税務署へ早めに相談してください。
ワンストップ特例なら再発行は必要?
ワンストップ特例では、寄附金受領証明書を申請書に添付しません。
紙で申請する場合は、ワンストップ特例申請書と、個人番号や本人確認に必要な書類を寄附先自治体へ提出します。対応する自治体では、マイナンバーカードなどを利用したオンライン申請も可能です。
すでに申請が受理されており、次の条件を満たしているなら、寄附金受領証明書を紛失したことだけを理由に再申請する必要は通常ありません。
- 確定申告や住民税申告をする必要がない
- ふるさと納税先が年間5自治体以内
- 各自治体へ期限内に申請している
- 申請後に住所や氏名の変更がある場合は変更届を提出している
ワンストップ特例の申請期限は、原則として寄附をした翌年の1月10日必着です。オンライン申請でも期限までに手続きを完了する必要があります。
受付が完了しているか見ておく
申請書を郵送しただけでは、書類の不足などにより手続きが完了していない可能性もあります。
自治体から届いた受付通知、メール、自治体マイページなどを使い、受理されているかを見ておきましょう。
寄附金受領証明書をなくしていても、寄附完了メールやポータルサイトの履歴から受付番号を調べられることがあります。自治体へ問い合わせる際に、番号を伝えると寄附を探しやすくなります。
後から確定申告をするなら証明書が必要
ワンストップ特例を申請済みでも、次のような理由で確定申告をすることがあります。
- 医療費控除を受ける
- 住宅ローン控除の初年度に当たる
- 副業などの所得を申告する
- 年末調整で反映できなかった控除を申告する
確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。
例えば、5自治体へ寄附してワンストップ特例を申し込んでいた人が医療費控除のために確定申告をするなら、5自治体分の寄附をすべて申告します。一部だけを入力すると、入力しなかった寄附は控除へ反映されません。
確定申告へ切り替えることが決まったら、紛失した証明書の再発行や年間証明書の取得を進めてください。
寄附金受領証明書を再発行する4つの手順
自治体へ再発行を頼むときは、次の手順で進めると寄附の見落としを防ぎやすくなります。
1.対象年の寄附を一覧にする
ふるさと納税サイトの履歴や寄附完了メールを見ながら、自治体名、寄附日、金額、受付番号を書き出します。
返礼品の配送記録だけでは、返礼品を希望しなかった寄附や、配送時期が異なる寄附を見落とすことがあります。寄附履歴と決済記録の両方を見るのがよいでしょう。
2.年間証明書に含まれているかを見る
利用したサイトで「寄附金控除に関する証明書」を発行できるか調べます。
対象となる寄附が年間証明書にすべて含まれていれば、自治体ごとの紙の証明書を再発行してもらわずに申告できることもあります。
複数のサイトを使った人は、一つのサイトの証明書だけで年間分がそろっていると思い込まないようにしてください。
3.自治体の公式窓口へ申し込む
年間証明書に含まれていない寄附は、寄附先自治体へ再発行を頼みます。
検索するときは「自治体名 ふるさと納税 寄附金受領証明書 再発行」などと入力すると、担当ページを探しやすくなります。
連絡先は検索結果の案内だけで決めず、自治体の公式サイトに掲載された窓口を利用してください。外部のふるさと納税サポートセンターが指定されている場合は、自治体の案内に従います。
4.届いた証明書の記載内容を見る
再発行された証明書が届いたら、次の項目に誤りがないかを見ます。
- 寄附者の氏名
- 住所
- 寄附年月日
- 寄附金額
- 寄附先自治体名
複数の証明書がある人は、年間の寄附履歴と照らし合わせてください。
氏名や住所が寄附時から変わっているときは、申告への使い方を寄附先自治体または税務署へ問い合わせましょう。
申告期限が近いときはどうする?
証明書の紛失に気づいたのが申告期限の直前でも、金額を推測して急いで入力するのは避けましょう。
まずは自治体や特定事業者へ連絡し、紙の再発行と電子証明書のどちらを早く取得できるかを調べます。
確定申告の期限に関する扱いは、もともと申告義務がある人と、控除による還付を受けるために申告する人で異なります。
確定申告が不要な人の還付申告
会社員など、もともと確定申告をする義務がない人が、ふるさと納税の寄附金控除による還付を受けるために申告する場合は、原則として対象年の翌年1月1日から5年間、還付申告を行えます。
一般的な確定申告期間に再発行が間に合わなくても、直ちに控除を受けられなくなるとは限りません。
証明書をそろえ、寄附先や金額を確かめてから申告する方法があります。
ただし、確定申告をする義務がある人や、期限内の申告が条件になっている制度を利用する人は扱いが異なります。申告期限を過ぎそうなときは、所轄税務署へ早めに相談してください。
ワンストップ特例の期限を過ぎた場合
ワンストップ特例の申請が寄附翌年の1月10日に間に合わなかった場合は、確定申告によって寄附金控除の手続きを行います。
このときは、寄附金受領証明書や年間証明書などが必要です。
ワンストップ特例の申請書を後から送るのではなく、確定申告へ切り替えることになります。複数の自治体へ寄附している人は、年間分をまとめて申告してください。
確定申告後に寄附の申告漏れに気づいた場合
確定申告を提出した後で、ふるさと納税を入力し忘れていたことに気づくケースもあります。
申告した税額が実際より多かったり、還付金が少なかったりするときは「更正の請求」により訂正を求める方法があります。
国税庁では、ワンストップ特例を申請した後に医療費控除の確定申告を行い、その際にふるさと納税を申告へ含めなかった例について、更正の請求書の作成方法を案内しています。
更正の請求では、訂正する理由の基礎となる事実を証明する書類が必要です。寄附金受領証明書を紛失しているなら、自治体から再発行を受けるか、正式な年間証明書を取得してください。
一般的な計算誤りなどを理由とする更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内です。ただし、申告状況によって起算日や必要書類が変わるため、国税庁の案内を読み、不明点は所轄税務署へ相談しましょう。
寄附金受領証明書をなくしたときのQ&A
まとめ
寄附金受領証明書をなくしても、すぐにふるさと納税の控除を受けられなくなるわけではありません。
利用したふるさと納税サイトで年間の「寄附金控除に関する証明書」を発行できるかを調べ、足りない証明書は寄附先自治体へ再発行を頼みます。電子交付に対応していれば、XML形式の証明書データを確定申告に利用できることもあります。
ワンストップ特例を利用するだけなら受領証明書の添付は必要ありません。ただし、後から確定申告をするとワンストップ特例は無効になるため、その年の寄附をすべて申告します。
申告期限が迫っていても、決済履歴から金額を推測せず、正式な証明書と寄附履歴を照らし合わせて手続きを進めましょう。
- 本記事は、2026年7月時点の公的な案内をもとに、ふるさと納税に関する一般的な手続きを紹介しています。個別の申告状況によって必要な対応が異なるため、判断に迷うときは寄附先自治体または所轄税務署へご相談ください。
参考情報
本記事は、以下の公的機関が公開している情報を参考に作成しています。制度や申告方法が変更されることもあるため、手続きの際は最新の案内もご確認ください。
- 国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
- 国税庁「ふるさと納税に係る寄附金控除に関する証明書等について」
- 国税庁「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」
- e-Tax「第三者作成書類の添付省略について」
- 国税庁「No.2030 還付申告」
- 国税庁「所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続」
